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新幹線底部カバー用フレーム
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名称 | 新幹線底部カバー用フレーム |
用途 | カバー |
業界 | 鉄道 |
材質 | アルミニウム | A5083 |
板厚 | 6mm |
寸法 | 910×3,120×390mm |
溶接 | MIG溶接 | 連続溶接 |
TIG溶接 |
加工方法 | レーザー加工、曲げ加工、鋸盤、フライス |
表面処理 | (客先にて腐食防止のため塗装) |
その他 | |
このアルミのフレームは、新幹線の底部カバーに用いられるフレームです。新幹線という強い振動が長時間・長期間かかるような環境下でも安心して使用できるよう、信頼性を極限まで追及して加工を行った製品になります。
このアルミ製の新幹線底部カバー用フレームは、コストダウンを行うためにアルミ部品を溶接する際に専用の固定用回転治具を製作し活用しています。さらに1台の回転治具で2台分を固定するような構造にすることで、1台分を溶接したら冷めるまで固定したまま保持し、その間にもう1台のフレームを溶接するような段取りを行っています。
さらに信頼性の向上という観点からは、こうした人命に関わるようなアルミ製フレームの溶接・組立は、熟練の作業者に限定しています。特にアルミの溶接に関しては強固な溶接を行うためには不純物の排除が必要なので、溶接前に溶接面をシンナーできれいに拭き取ったりする細かな作業が必要であり、さらにグラインダーの粉などもブラシで除去するなどの対策を行っています。このように溶接不良に対する対策を行っていてもどうしても不純物が混入してしまった場合には、その現象として穴が空いたり変色したりして強度的に問題となります。このようなケースにおいては、溶接ビードを外して再度溶接し徹底した管理を行っています。さらに、高い信頼性が求められるアルミ製品については、品質管理においても作業者に加えて検査担当が溶接部分のダブルチェックを行うことで、確かな品質のアルミ製缶板金製品を出荷する体制を整えています。
こうした信頼性向上の取組みは、溶接のほか、曲げ加工においても対策を行っています。アルミの場合、曲げ加工を行うと割れやすい、といった特性がありますが、この曲げ加工も曲げる方向によっては割れが生じにくくなります。具体的には、圧延方向に対して直角に曲げるようにすれば割れは軽減されます。こうしたアルミの特性を熟知した上で、細部に渡る対策を取ることで信頼性の高いアルミの製缶板金を世の中のご提供することが可能となります。
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