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アルミ板金における設計者が押さえておくべきポイント

 これまで見てきたように、アルミは軽くて強度が高いといった特徴がある反面、熱に弱く曲げ加工も難しいという、非常に扱いが難しい材質でもあります。その中でも特に注意すべきポイントは溶接であり、溶接によって発生した歪みを除去する作業(歪み取り)は時間も手間もかかるのでコストアップに繋がってしまいます。従って、このアルミを使用した製缶板金・精密板金においては、コスト上昇を抑えながら品質を向上させるための設計のポイントがあります。

① 溶接を無くす

 アルミを用いた製缶板金においてコストを抑え、品質を向上させる一番のポイントは、溶接を行わないように検討を行うことです。設計においては品質や強度を重視するあまり溶接を多用してしまいがちですが、これが逆に品質を損ない、コストアップとなってしまうことがあるので注意が必要です。

② 全周溶接を断続溶接にする

 例えば鉄などの製缶板金などの場合はTIG 溶接を行う際には全周溶接を行うのが一般的ですが、鉄よりもアルミは熱による歪みが非常に大きく出るので、アルミの場合はできるだけ全周溶接とせず、強度的に問題ない範囲で断続溶接に切り替えることでコストを抑えることが可能です。

③ スポット溶接を採用する

 通常、製缶板金を行う企業では保有していませんが、アルミ専用のスポット溶接機というものも存在します。スポット溶接はTIG 溶接よりも熱による歪みが発生しにくいので、強度的に許容される場合は、スポット溶接を行うとコストダウンとなります。

④ 熱のかからない、リベットやボルト・ナット固定にする

 まったく歪みが許されないような状況では、溶接そのものを行うことが困難になります。そのような場合で部品同士を固定しなければならない場合は、リベットによる固定や、ボルト・ナットによる固定など、溶接による熱を持たない固定方法を検討することも必要です。ただし、TIG 溶接やスポット溶接に比較するとリベットによる固定は強度的には落ちるので検討が必要です。さらにボルト・ナットによる固定の場合は、多くのケースでは緩み止め対策を行います。

⑤ 溶接する場所を端のほうにずらす、左右対称にする

 アルミ溶接を行うことによって生じる歪みは、その熱が集中するところに生じやすいものです。従って、設計上可能な範囲で熱の集中を回避するような構造とすることが、最終的にはコストダウンに繋がります。たとえば溶接を行う場所を端のほうにずらしたり、あるいは溶接を行うアルミのプレートが、片方のみに穴が空いている場合には熱が一方に集中してしまうので、問題なければ左右均等に穴を空けることで歪みを低減させることが可能です。

⑥ 熱の応力集中が起こるところを逃がす

 上記⑤とも関連しますが、いくら左右対称なものを溶接したり、端のほうに溶接位置をずらしたとしても完全に応力集中を回避することは不可能です。もし、溶接による歪みが集中する場所が明らかな場合は、その部分で応力を逃がすような対応、すなわち切り込みを入れたりするような検討も必要です。

⑦ 板厚を厚くする

 歪みが大きく発生しやすいアルミ板は、その薄さが薄くなればなるほど歪みが顕著に現れます。従って歪んでどうしようもない製缶品の場合で、これまで述べてきた対策をすべて盛り込んでも大きな歪みが発生してしまう場合は、板厚を厚くすることを検討します。この対策は材料費が上がってしまうという反面、歪み取りにかかる時間とコストを低減させることができます。なお、鉄やステンレスなどと比較し、板厚を厚くすることによる歪み低減の効果が高いのもアルミの特徴になります。

 このように、アルミの製缶板金では設計時に抑えておけば品質も向上しコストも低減できるポイントが多数あります。次章からは、これらの設計者がおさえておくべきポイントを具体的に見ていくことにしましょう。

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